一般社団法人 日本IR協会
日本型IR 推進のためのフォーラム

第8回 IRの社会的責任

日本大学経済学部 専任講師 佐々木 一彰 氏(地域政策学博士)
― 2015年4月掲載 ―

日本でカジノを駆動部分としたIR構想が議論され続けて10余年が経過している。議論が始められた当初はある意味で雲をつかむような話であったが急速にここ数年、実現性を帯びて来つつある。それに伴い、日本でIRが実現した場合、どこが運営を担うのかという話題が出てきている。日本でIRの議論が始まった当初は「カジノ」という言葉は日本人にとって極めて反社会的な意味を持ってとらえられていたが、近年ではその意味合いは徐々に薄れつつあるようである。

第7回 IR法案の政策目的~いかなる目的を、どのように実現するのか~

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士 石原 仁 氏
― 2015年4月掲載 ―

旧IR法案は、その第1条において「この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、(中略)、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。」と定めている。このように旧IR法案は、カジノを含むIR整備を推進する理由として、IRが「観光及び地域経済の振興に寄与」し、「財政の改善に資する」ものであることを挙げているが、その目的を達成するためには、具体的にどのような施策が取られるべきであろうか。そのような検討をする際の一つ目の大きな点として、IRの中において、カジノを観光資源としてどのように位置づけるかを考える必要がある。

第6回 ベストプラクティス Best Practices

Lewis Roca Rothgerber LLP Partner ネバダ州・アリゾナ州公認 アンソニー・N・カボット氏
― 2015年3月掲載 ―

日本が統合型リゾートの合法化を目指すことは特別な事ではありません。 他の諸外国地域では、大きな需要が見込まれるカジノビジネスからの経済的便益を享受するために、統合型リゾートの合法化に踏み切ってきました。 日本がこれまでのケースと異なることは、行政構造から組織犯罪影響といったすべての問題を考慮した規制を作成しなくてはいけないという点です。

Japan’s challenge in considering the legalization of integrated casino resorts is not unique. Other jurisdictions have adopted legislation to take advantage of the economic benefits that can accrue the government from legalizing an activity with significant unsatisfied demand.What is unique are the particular challenges that Japan must consider in crafting the regulations – everything from government structure to organized crime influence.

第5回 民間の活力を十分に生かすための法制度の構築及び議論が望まれる

べーカー&マッケンジー法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 本間 正人氏
― 2015年1月掲載 ―

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)及びこれに基づき制定されるいわゆるIR実施法によって導入されるカジノ施設を含む統合型リゾート(Integrated Resort-IR)は、インバウンドの観光振興及び地方の経済振興を目的とするものであるが、これは民間の活力を最大限に生かすことによってはじめて可能となることは論を待たない。今後予定されるIR推進法及び実施法の議論に関しては、当該視点が十分に意識されることが肝要である。

第3回 IRは地域、日本の魅力の発信基地。地元産業界のイニシアティブが肝要

キャピタル&イノベーション代表取締役 小池 隆由氏
― 2014年11月掲載 ―

カジノを含む統合リゾート(IR。Integrated-Resorts)の誘致、事業化において、地元産業界、地元企業の中心的な関与は可能であり、また不可欠と考えられる。地元産業界、地元企業に期待される関与とは、IR運営会社の所有(株式のマジョリティ保有)に他ならない。

第2回 IR実現に向けての課題~政治的合意形成の難しさ~

大阪商業大学・総合経営学部教授 美原 融氏
― 2014年11月掲載 ―

国会における政策立案・立法化に向けての動きは政党政治が実践されている我が国では政党単位の動きが基本になる。与党である自民党では、これが省庁単位に分かれた部会、政務調査会、総務会と合意形成の段階を経て、党としての機関決定がなされ、党議拘束をかけ、議会に諮ることになる。組織の名称は異なるが、この基本的な意思決定の在り方は野党でも同一であり、賛成、反対様々な政党間レベルでの議論の枠組みが各党レベルで決定する。

第1回 最近のメディア論調のレベルの低さよ

大阪商業大学 学長 谷岡 一郎氏
― 2014年11月掲載 ―

最近マス・メディアに、カジノを含むIR構想に反対する論調をいくつも見かけました。その多く(本音は「すべて」)は、「まったくのデタラメ」か「強引なこじつけ」にすぎないものです。それらのトンデモ論調のうち、今回は影響力の高そうな次の2本についてコメントしておきます。